日本でたった一人で活動していると、やはり知らず知らずのうちに疲れや責任感が溜まってくるのだろう。帰国して10年を過ぎた頃から、病気がいくつも発覚してきて、去年から今年にかけてなんと4回も入院する騒ぎになった。
再発しないように、仕事はなるべく無理をしないようにしているのだが、なにせ私の代理はいないので、どうしても出張なども(体がつらいなあと思いつつ)出かけて、結局また入院するはめになる。免疫疾患がベースにあるので、体調をなだめながら、ゆるゆる運転を続けるのがよいのだろう。
今回は以前より症状が軽かったので、入院中にゆっくり自分を見つめる時間がもてた。
病室でのふとした小さいことが、ある気づきにつながる。
私の場合、腸の疾患でもあるので、数日間の絶食治療の後、流動食の食事が出される。最初の食事は重湯とスープとジュースなど、もうほどんど水分のみなのだけれど、そのうちに固形物の消化の良いおかずも出される。
見た目はたいして美味しそうではないのだが、食べてみると驚くほど美味しくて、これは記録に撮っておきたいと思うのだが、この味、クオリティは写真に撮ってしまうとうまく伝わらない。
地味だけれども上質なものの価値は、直接味わわない限り、正確には伝わらないのだ。
これと同じことが、自分の仕事にも言える。
前から思っていたのだが、私の伝えようとしているローゼンメソッドは、一見とても地味で、写真や動画に撮ってしまうとなんだかつまらなさそうに見える。
右脳的な感覚で味わうものなので、言葉で論理的に説明することも難しい。
なので、実際に身体で感じてもらわないとその良さが伝わらないのだが、マーケティングというものは、体感抜きで人々にアピールできなければ集客につながらない。
たとえばビジュアルで魅力的にアピールしたり、動画でインパクトを与えたり、オンラインや見た目で人々の関心を得る必要があり、それがとてもネックになっていた。
人々にアピールするためには、その本質を少し曲げたり誇張したりする必要があるのかもしれない。たとえば昔は地味だったヨガが、スポーツやファッションとリンクすることによって今では日本中に認知されるようになったように。
でもそれをやってしまうのは、何か違うような気がする。
先日、素晴らしいデザイナーさんにイメージを一新するようなウェブサイトを作成していただいた。本質をそのままに、その心地よさをイメージで的確に表現していただき、それはとても喜ばしいことと感じた。
ただそれが直接集客につながるかどうかは、まだわからない。
従来の一般的な集客戦略ではなく、個々のエッセンスを大事にしたアドバイスが得られる機会があれば、とてもありがたい。
その場合、頭で(机上で)理解するのではなく、実際に体感したうえで、その本質を探って共感していただければ一番よいのかなと思う。